二重性、あるいは事実は小説より奇なり

3年ほど前、高校で部活の2つ下の後輩の女の子 N・T に、 
こたつのなかで、あそこを足で、ぐりぐりとやられたことがある。 

私が高校3年になり、そろそろ受験が気になりだしたとき彼女は 
部に入ってきた。始めは友人の付き添いとしてきただけだった 
ようだが、なんとなく居座ってしまい、部室に毎日顔を出すよう 
になると、美しかった彼女は皆にすぐさま顔を覚えられた。その 
くせ、部に溶け込むにはかなりの時間がかかったらしい。文科系 
の部活で暗い青春を送ってきた部員達には彼女は眩しすぎたのだ 
ろう。そんなこんなで、彼女が何人かの「崇拝者」を作るのにそ 
う時間はかからなかった。 
最初私はその一人ではなかった。彼等が彼女を喜ばすため、受験 
そっちのけで毎日部室に来るのを冷ややかに見つめ、一人勉強に 
没頭しようとしたのだが、一月もして、何やかにやと理由を付け 
て部室に現れるようになると、彼女の張る網にすぐかかってしま 
った。 
もっとも、恋に未熟な私は、あの事件がおこるまでそれを認め 
たがらなかった。それで彼女にどこかよそよそしく付合った 
が、世間なれしていた彼女は、それが虚勢であること、結局 
は崇拝者であることにすぐさま気付き、かえってわざとなれなれ 
しく接するのだった。トランプの最中、偶然に見せかけて私の手 
にふれたり、帰るとき皆の見ている前で急に私と腕を組んだりし 
ては、照れる私を子供っぽく、だがいやらしく笑った。 
紅い唇、いつも半ズボンかスカートで露出した足。取り巻きたち 
の心を見透かす洞察。そうした大人っぽい側面と、まだ15とい 
う幼さとのギャップが、彼女の不思議な魅力を作り出していた。
彼女自身そのことに気付いていて、 積極的にそれを利用したも
のだった。もっとも、当の本人はその 影響力の強さを完全には
自覚していないようにも見えた。単に、そうすると皆が自分の言
うことを聞いてくれる、その程度に思っていただけかもしれない。
少なくともそう考えさせる程に、彼女は無垢な一面を持ち合わせ
ていた。 
彼女の前には、かえって私の方が子供だった。私も口ではよく不 
平を言ったものだが、からかわれても、からかわれても、心の奥 
底では喜んでいたためすべて許した。それを知っていた彼女は、 
心置きなく私を「苛め」た。 
苛めはある程度、性的であった。 家庭科で作った女ものの服を
着せられたり、「私って魅力的でしょ?」などといってその豊満
な胸を見せつけ、私が恥ずかしさの中顔を赤らめて横を向き、そ
れでいて高鳴る内面を隠しきれずちらちら胸を見てしまうのを見
てくすくすと笑ったり‥‥
子供の頃から、皆と同じように行動することのできなかった私は、
どうしても周りから浮いてしまい、変人扱いされ、疎まれた。そ
れが苦しく、辛く、そしてなにより頑張っても頑張っても普通に
振舞えない自分がもどかしかった。
それで中学くらいからわざと開きなおって行動するようにした。
変人扱いされ、注目を集め、笑いをとる。そうすることで、他人
に同化できないまでも他人から嫌われない、そういう立場に身を
おくことにした。そうして他人を欺き、自分を誤魔化すことで、
やっと安住の地が得られた私は、この方法にとても満足し、悦に
浸り、妙に浮き立った毎日をおくった。だが、この実にアンバラ
ンスな「戦略」が後の不幸へとつながったのだ。
高校でもそのような行動をとっていたので、そんな私の部内での
立場は道化師のそれであった。皆は平気で私をからかい、そして
嘲笑した。私自身もそうされることで皆の中に入っていけるので、
かえって嬉しく、喜ばしかった。彼女の「苛め」もそうしたから
かいの一つでしかなかったので、誰もそれを不自然とは思わなか
った。私にとってはそれが性的であるゆえ全く別格であったのに。
だから家庭科の服で女装させられた時も、表面では自ら喜んで服
を着て、「ついでだからズボンも脱いで」などという注文にも快
く応じたが、裏では実質的には強制であったその行為に悲痛の涙
を流しながら、ただただ皆を喜ばせようとストリップの真似事を
して踊りながらズボンを脱ぎ、「もしかして女装願望あるんじゃ
ない?」などという言葉にもじっと耐えた。
「もしかして女装願望あるんじゃない?」その言葉は、それがあ
る程度真実であるがゆえに辛かった。女性的な一面を持ちあわせ
ていたので、女装に自覚のないほどほのかな期待をよせていた。
それの暗示する淡い性的傾向が魅力の一端だった。性に対する強
い羞恥心のあった私は、人並な性表現ができず、普段はちょっと
した性的暗示にも耐えられなかった。「胸」という言葉にもしか
めつらをしてしまう、そんな人間だった。(彼女がそこに付け込
んだことはいうまでもないが)しかしながら女装は半分冗談とし
て行うことができるので、そんな劣等感にも近い性への感情を躊
躇せずアピールできた。だが精神的高揚のまかせるままに赤いワ
ンピースを着てしまった私は、家に帰って自慰にふけり、そして
すぐ自己嫌悪に落ちいった。
あるいはそうした無自覚な性への期待が彼女の「苛め」の作り出
す甘い罠から抜け出せなかった最大の原因であったのかも知れな
い。性的嘲笑を受けながら冗談の仮面に隠しながら少しづつ内面
の欲動を表現していけば、奇人であることを隠して皆に紛れ込む
ことができたように、笑いと嘲けりの渦の中である程度の満足が
得られるのではないか、そんなみえすいた打算が胸の中にひしめ
きあっていたのだ。
馬鹿だった。



そしてそれはついに起こった。私が前日の出来事(ワンピース)
を皆に何かいわれるのではないかと体を火照らせながら部室にい
くと、皆は隈談で盛り上がっていた。私は真顔を装い、変に無表
情で近くにあった漫画を読んでいたが、軽く勃起していた。前日
のこともあって、胸がいつになくむらむらとしてくるのをどうし
ても押えることができなかった。そして私は伸びをするふりをし
て、軽く彼女の足と足との間をこついた。
彼女は官能とも嫌気とも思えるように顔を歪め、それから無表情
に私を見つめた‥‥




彼女の短いスカート、果実のように張り出した乳房。どこまで 
も紅い、淫らな口元。理性の箍を失った私が、足で軽く、彼女 
の足と足の間をつついた事へのひそやかな返礼だった。つつい 
た時は顔を薄い紅に染め、おくゆかしくかすかに微笑い、まる 
で小さな子供の悪戯をなだめるような態度を取っただけだった 
が、(彼女は普段から私にはそう接していた。私も私で子供扱 
いされ、からかわれることを心のどこかで密かに喜び、幸福を 
感じていた)私がおどおどして、何かを期待するような態度で、 
じっと彼女を眺めているのを見て取ったのだろうか。少しずつ 
彼女は足を伸ばし、アクセルを踏み込むようにぐいぃっと押し
込んだ。 
その痺れるような感覚に私は体をくねらせ、何ともいえぬ被虐 
に酔った表情を浮かべ、声にならない声を出してしまった。 
「あくっ」くぐもった、いやらしい、何が起こっているのかす 
ぐにわかる、そんな声だった。 
私が表情を歪めたのを見ても動じず、彼女は無表情にその密か 
な楽しみを続けた。存在を主張するその部分を踏み潰さんとす 
るかのように、ぐいぐいと上から押し付けた。羞恥に染まる頬 
よりも熱くなったところになまぬるい感触がつたわる。 
「やめ…、やめてよ…」それは、倒錯と隣り合わせの悦びに対 
する、理性の精いっぱいの抵抗だった。2つ年下の相手に苛め 
られる辱かしさに痛烈な苦しみを感じながらも、その羞恥心ゆ 
えの興奮と、苦痛ともとれる快楽とに逆らって出されたその声 
は、奇妙にうわずっていた。 

惨めな私の姿はむしろ彼女の淫猥な心を刺激したのか、彼女は
より強く、私の内面の象徴ともいえる醜いその部分を踏みつけ
た。皮が圧力に横に動き、ペニス を悲痛から救おうとしたが、
これは同時にずれる足に引きずられる快感を生んだ。行き場を
失った力が根元を強烈に押し付けた。私の部分はその悦楽に悲
鳴を上げた。 
袋にかけられたかかとの圧力が、全身にじわっとした感触を伝
えた。この感触の故に、前日の、そして前々日の自慰の疲れで
いやらしい液を垂らしながらだらしなく倒れていたぺ二スも、
むく、むくっと音を立てて立ち上がった。
下着に液体の軌跡を残しながら、袋と、やわらかなそこと、そ
して下腹部とを押さていた足の下で、圧力に逆らいながら、ず
るずると膨らんでいった。鋭くなった触覚にはズボンを通して、
足をまとう靴下の布地すらも感じとれるのだった。
どんなに硬く、大きくなっても、それはどこか弱々しくそして
情けなかった。
彼女は急に押す力を強めた。すると覆皮が横に滑べり、ペニス
を脱出させようとずずっとひきずり、あらたなる刺激をもたら
したが、やがて動きが止まって、足はペニスの上に横向きにあ
てがわれた。強い力がその部分に快感をもたらし続けた。心の
高なりに合わせ、大きくなった股間は、勢いよく流れる血液に
じんじんと震えた。
しばらくそのまま互いに、感触を確認しあっていたが、そのう
ち何かを欲した足が、またもや動き出さんと少しくそこから離
れた。隙を逃さず、疲れに横たわらんとしたペニスであったが、
再びかかとに捉えられた。彼女が、少し考え込んだような表情
を浮かべた後、何かを思い付いたかのように薄い微笑いをもら
したのを見て、私は期待とともに恐怖に震えた。何かがおこる
のをおそるおそる待った。押しつぶすことに飽き足りたのであ
ろうか、今度は足をあてたまま、かかとを左右に振り、たばこ
をもみ消すかのようにそれをあつかった。顔を、右、左と交互
に何度もはたかれたときのようにそれは、足の動きに合わせて、
くい、くいっと左右に動いた。 

「ううっ… ん… くぅ…」私は頭が真っ白になった。悪戯から 
逃れたいという欲求と、気持ちよさに耐えきれず、なさけない 
声を出し続ける自分とが激しく衝突した。 
普段彼女に親しみを、いや淡い恋心すら感じていた私は激しい 
罪悪感を感じた。 
ちょっと動けば、簡単に逃れられるはずだった。でも、どうし 
ても動くことが出来なかった。どこかおさなさを残す、やせて 
いながら丸みを持ったその足にむしろ吸い寄せられた。こしを 
前につき出したり、快感を増幅させようと、卑猥にも体をくね
らせたりした。もっとも、そうでなくとも刺激のため、自然に
動いたのであったが。 
冬の日には不釣り合いな、夏の日に焼けたかのような、健康的 
な足。 
彼女が悪いのだと言うなら、その通りであろう。私もそうして 
自分を正当化しようと思った。 
自己をさいなむ自分と、正当化する自分。 
一時的に分別が勝ち、彼女を冷静に見つめた。快楽に歪む情け 
ない表情を彼女に見られまいと、無理矢理、無表情を作ろうと 
した。足の作り出す不可思議な魅力にまたしてもとらわれてし 
まいそうなよわよわしい意志は、自己をふり立たせんと、あら 
らぐ息をぎゅっとかみ殺し、もう一度、「やめて」そう言おう 
とした…… 
……だが、ついに声にはならなかった。ついに彼女に負けたの
だ。奇妙な敗北感だけが残った。自分の中に湧き起こる、羞恥
を悦ぶマゾヒスティックな感情をみとめられず、なお心の奥底
に沈めようと空しい抵抗を続けた。 
卑屈な情熱を悟られたくない……それだけが最後の望みだった。 
倒錯者であることが知られて、どうして彼女を否定できよう。 
葛藤に苦しむ間も、その性戯は続けられた。ささやかな反抗心 
を読み取ったのか、彼女は微かに口元を歪めた。普段は自分に
ひれ伏すたかが召し使いに刃向かわれるなど、彼女のプライド
が許さなかったのだろう。むっとした彼女は、 その感情を吐き
捨てるかのように、急に足の動きを早めた。ふとももを揺らし、
乱暴にそれを扱うことで、自分の怒りを押し付けようとしたの
だ。それは身分をわきまえぬ私へのおしおきだった。彼女と、
私との身分の違いを象徴していた。対等ではありえない、2人
の関係がそこに存在した。冷ややかな彼女と、その彼女の仕打
ちに、苦悩するどころか快楽を覚える自分。いじめてほしい。
そんな感情すら湧き起こった。彼女に嫌われたかもしれないと
いう苦しみと同時に、嫌われることへの悦びがあった。もっと、
もっとひどくあつかわれたい。 馬鹿にして下さい、その足で
私のいやらしいものにもっともっと罰を与えて下さい‥‥
足は激しく私を犯した。すでに、人間の一部を扱っているとい 
うより、ものだった。快感に耐えるためからだを下げるとふと 
んのすきまから僅かに足が覗いた。暗がりから見える足のライ 
ンは、私の股間からのび、闇の彼方の彼女へと続いていた。 




何故、こちらから彼女の足を触ったり、或いは再び足を女性に 
あてがったりしなかったのかと思われるかもしれない。しかし 
ながらそのときは、
「僕が悪いんだ、僕が悪いんだ」と思い、彼女のその気まぐれ
を咎めることが出来なかったのだ。「ゆるして、ゆるして‥‥」
そんな言葉だけが頭をかけめぐった。
…いや、それは表面的な口実だ。内心、彼女の玩具になりたい… 
ストレス発散の遊具である事に徹したいという、あさましい願
望があった事は否めない。 
私を、特に私のいやらしい突出部をオモチャにしていじり、弄
んでほしい。いじめられたい。物として、道具として扱って欲
しい… 

恐る恐る彼女を見ると、彼女はさげすみの微笑いを浮かべながら、 
あきれるようにこちらを見ていた。「しょせんは、こんなので感
じような人間なのね。あなた、変態ね」まるでそういっているか
のようだった。 
あざけるようなその目つきから逃れたい… 




突然彼女は足の動きを止め、足の親指と人差し指の間で、せんたく 
ばさみのように私の快感にぬれるその部分をはさんだ。すこしずつ、 
すこしずつそれを動かし、真上をむくようにして、はさんだまま、 
今度は縦に足をゆすった。 
そう、彼女は自慰をさせたのだ。足が動くたび、連動して私のから 
だも動いた。こたつのふとんに隠れてみえなかったが、おそらく、 
すでにみずからの愛液にぐしょしょになっていたであろうズボンの 
上をなまめかし足が這っていたのだ。たくれた皮を、ぎゅっとずり 
下げ、下に引き伸ばす。亀頭に引っかかった親指が、 
下着をずるりと持ち上げる。足の動きがかかとに力を与え、ぎゅっ 
としわぶくろを踏みつける。 
いくっ…いくっ… 
全身に伝わった快感にからだが硬直し、今にも爆発しそうなその部 
分の刺激に、思わず体を丸めた。 

…と、急に彼女が足を離した。何が起こったのか、私はすぐには理 
解できなかったが、しばらくしてあたりをみまわし、何事もなかっ 
たかのようにたたずんでる彼女を見つけた。 
急に我に帰ったのだろうか。不審に思いながらも私は腰をそろそろ 
と動かし、足にそれをこすり付けようとしたが、足は、すっ と動き 
私をさけるのだった。まだ性戯の余韻が消えぬ私は、彼女の表情を 
うかがいながらも再び腰を動かしたが、やはりむだだった。 
しばらく待っていた私だったが、まるで私が存在しないかのように 
ふるまう彼女に、いっさいの無駄を悟り、ちょっと考えた末に、ト 
イレで自慰にふけることを思い立った。まだ期待を捨て切れるよう 
に彼女のほうをなんども振り返りながら、おもい腰をあげ、部屋の 
外へに向かおうとした。 
ふいと彼女がこちらを見ていることに気付いた。とたん全てが分か 
った。そう、これが彼女の目的だったのだ。私ががまんできず、み 
ずからの手で、みずからを恥ずかしめる、その情けない姿を、その 
惨めな姿を彼女は見たかったのだ。 








ただ人と話すだけでも、どきどきとした胸の鼓動が感じられ、不安
が募り、相手をじっと見つめたまま動けなくなる。






 
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